乾燥に必要な熱量と容積の計算方法【乾燥機の設計】

乾燥に必要な熱量ってどうやって計算するの?
乾燥機ってどうやって計算するの?
そんな悩みを解決します。
本記事の内容
  • 乾燥現象の進み方
  • 乾燥に必要な熱量の求め方
  • 材料に流入する熱量の求め方
  • 乾燥機容積および伝熱面積の求め方

この記事を読めば、乾燥現象を理解し、乾燥機の概算設計ができるようになります。

私は化学製品のプロセス設計をしてきました。
その経験をもとに分かりやすく解説します。
化学メーカー生産技術職(8年目)
工学修士(専攻:化学工学)

乾燥機の設計方法

乾燥機設計の目的は、乾燥機の容積や伝熱面積を求めることです。

容積や伝熱面積は以下の式から求めることができます。

$$Q_{req}=Q_{sup}$$

$Q_{req}$:乾燥に必要な熱量

$Q_{sup}$:乾燥させたい材料に流入する熱量

ここでは、乾燥に必要な熱量$Q_{req}$および乾燥させたい材料に流入する熱量$Q_{sup}$の概算方法を3種類の乾燥機について解説していきます。

  1. 回分式熱風乾燥機
  2. 連続式熱風乾燥機
  3. 連続式伝導伝熱乾燥機

そして、乾燥に必要な熱量$Q_{req}$と乾燥させたい材料に流入する熱量$Q_{sup}$を用いて、乾燥機容積と伝熱面積を求める方法を説明します。

計算を理解するために、まずは乾燥現象の進み方のイメージを持ってください。

 

乾燥現象の進み方【計算方法を知る前に】

乾燥現象は3つの期間を経て進行します。

  1. 予熱期間
  2. 定率乾燥期間
  3. 減率乾燥期間

予熱期間 

予熱期間は湿り材料を湿球温度まで加熱する期間です。

言い換えると湿った材料を水分が蒸発する温度まで加熱する期間です。

この期間は与えた熱量はすべて湿り材料の温度上昇に使われます。

そのためこの期間の含水率は一定です。

定率乾燥期間

定率乾燥期間は湿球温度にて水が蒸発する期間です。

この期間は与えた熱量はすべて水の蒸発に使われます。

そのためこの期間の湿り材料の温度は一定です。

材料表面の水分を蒸発させるイメージです。

減率乾燥期間

減率乾燥期間は湿球温度から製品温度まで加熱する期間です。

この期間は与えた熱量は材料の温度上昇と水の蒸発の両方に使われます。

そのため、材料温度および含水率がともに変化します。

材料を温度上昇させながら材料内部の水分を蒸発させているイメージです。

 

乾燥特性は材料により異なるため、乾燥機の詳細な設計には実験が不可欠です。

当記事では詳細設計ではなく、概算設計する方法を解説します。

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乾燥に必要な熱量の計算方法

乾燥に必要な熱量は湿球温度においてすべての水分が蒸発するとして概算します。

「乾燥に必要な熱量」=「材料を湿球温度まで加熱するのに必要な熱量」 +「湿球温度において水が蒸発するのに必要な熱量」 +「湿球温度から製品温度まで加熱するのに必要な熱量」

つまり、予熱期間、定率乾燥期間、減率乾燥期間のそれぞれの期間に必要な熱量を求めて、足せば良いと言うことです。

回分式熱風乾燥機の場合

$$Q_{req}=(m_S/t_D)((C_S+ω_1C_L)(T_W-T_{M1})+$$

$$(ω_1-ω_4)(⊿h_V)_W+(C_S+ω_4C_L)(T_{M4}-T_W))$$

 

連続式熱風乾燥機、連続式伝導伝熱乾燥機の場合

$$Q_{req}=F_S((C_S+ω_1C_L)(T_W-T_{M1})+$$

$$(ω_1-ω_4)(⊿h_V)_W+(C_S+ω_4C_L)(T_{M4}-T_W))$$

 

$m_S$:投入した材料の質量[kg-乾き材料]

$t_D$:全乾燥時間[s]

$F_S$:乾き材料の供給速度[kg-乾き材料/s]

$ω_1$:乾燥開始時の含水率[kg-水/kg-乾き材料]

$ω_4$:乾燥終了時の含水率[kg-水/kg-乾き材料]

$C_S$:乾き材料の比熱容量[J/(kg-乾き材料・K)]

$C_L$:水の比熱容量[J/(kg-水・K)]

$T_W$:湿球温度[K]

$(⊿h_V)_W$:湿球温度における蒸発潜熱[J/kg]

$T_{M1}$:乾燥開始時の材料温度[K]

$T_{M4}$:乾燥終了時の材料温度[K]

 

材料に流入する熱量の計算方法

回分式熱風乾燥機

熱風と材料との接触面積がはっきりしている場合

$$Q_{sup}=h_cA(T-T_M)_{av}$$

接触面積がはっきりしない場合

$$Q_{sup}=h_caV_D(T-T_M)_{av}$$

$(T-T_M)_{av}$は熱風と材料の算術平均温度差

 

連続式熱風乾燥機

熱風と材料との接触面積がはっきりしている場合

$$Q_{sup}=h_cA(T-T_M)_{lm}$$

接触面積がはっきりしない場合

$$Q_{sup}=h_caV_D(T-T_M)_{lm}$$

$(T-T_M)_{lm}$は熱風と材料の算術平均温度差

 

連続式伝導伝熱乾燥機

$$Q_{sup}=U_KA_K(T_K-T_M)_{lm}$$

 

$A$:材料と熱風の接触面積[$m^2$]

$A_K$:伝導伝熱面積[$m^2$]

$a$:乾燥機単位容積あたりの材料表面積[$m^2/m^3$]

$h_c$:熱伝達係数[$W/(m^2・K)$]

$h_ca$:熱容量係数[$W/(m^3・K)$]

$T$:熱風温度[K]

$T_M$:材料温度[K]

$T_K$:熱媒体温度[K]

$U_K$:熱伝導率係数[$W/(m^2・K)$]

$V_D$:乾燥機容積[$m^3$]

 

乾燥機容積および伝熱面積の計算方法

求めた乾燥に必要な熱量$Q_{req}$と湿り材料に流入する熱量$Q_{sup}$が等しくなるように乾燥機の全容積$V_D$や伝熱面積$A$を決定することができます。

熱容量係数などが必要な場合は、下表が参考になります。

引用元:”化学工学便覧 改訂五版”,p.665.丸善出版(1988)

まとめ

乾燥現象の進み方と、乾燥機の概算設計方法を解説しました。

乾燥がどのように進むのかイメージを持って、計算することが大切です。

詳細な設計が必要な場合は書籍で学ぶことをおすすめします。

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5

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出版社

丸善出版; 第2版 (2013/3/22)

ページ

201ページ

価格

3,080円(税込み)

レベル

初学者~中上級者

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