ポンプによる液体輸送のプランニング設計

ポンプ周りの配管サイズってどうやって決めたらよいだろうか?
ポンプの全揚程はどうやって決めるの?
そんな悩みを解決します。

ポンプで液体輸送するときの設計の基本的な考え方を網羅します。
・ポンプ吐出配管と吸込配管の配管径の選定
・ポンプの全揚程の決定
・ポンプの選定
・NPSHの確認

私は大学で化学工学を学び、化学メーカーで6年間設計の仕事をしてきました。
その経験をもとに分かりやすく解説します。

ポンプによる液体輸送のプランニング設計

ポンプ周りの設計は基本と言われることがありますが、意外とトラブルが多く設計が難しいものでもあります。

良い設計をするためには設計手順と計算の内容を理解することが重要です。

ポンプ周りの設計は以下の手順で行います。

  1. ポンプ吐出配管と吸込配管の配管径の選定
  2. ポンプの全揚程の決定
  3. ポンプの選定
  4. NPSHの確認

 

手順①:ポンプ吐出配管と吸込配管の配管径の選定

最も経済的な配管径を選定する必要があります。

配管径が小さすぎるとエネルギーロスが大きい、かつ必要以上に大きなポンプをが必要になります。

一方で配管径が大きすぎると配管材料費や工事費が高額となり、かつ現場の空間を必要以上に占有してしまうことになります。

そのため、最適な配管径を選定する必要があります。

 

配管径の選定は圧力損失が以下の一般基準で判断することができます。

・ポンプ吐出ライン
流速0.5~2.0m/s、圧力損失:8kPa/(100m相当長)以下
・ポンプ吐出ライン
流速1.0~3.0m/s、圧力損失:10~80kPa/(100m相当長)
配管の圧力損失の計算方法は以下の記事をご参照ください。
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手順②:ポンプの全揚程の決定

ポンプの仕様を決めるために、ポンプの全揚程を決定します。

ポンプの全揚程は、以下の式で求めます。

$$h_t=\frac{ΔP_s}{ρg}+h_s+\frac{ΔP_d}{ρg}+h_d$$
$h_t$:全揚程[m]
$h_s$:吸込み液面からポンプまでの高さ[m]
$h_d$:ポンプから輸送先の高さ[m]
$ΔP_s$:ポンプ吐出の配管圧力損失[Pa]
$ΔP_d$:ポンプ吐出の配管圧力損失[Pa]
$ρ$:流体密度[kg/m^3]
$g$:重力加速度[m/s^2]
求めた全揚程には安全率をかけましょう。
安全率は設計に対して、未知数がどれくらいあるかで決めると良いかと思います。
他に実績があれば1.2倍~、新規プロセスであれば1.4倍~でしょうか。
安心かつ経済的な安全率にしましょう。

手順③:ポンプの選定

流量、全揚程が決まればポンプの選定ができます。

ポンプの型式と揚程、流量の関係をざっくりまとめました。

これは参考程度ですので、実際にはメーカーさんに相談してみてください。

型式 流量[$m^3/hr$] 揚程[$m$]
往復ポンプ ~100 ~5000
回転ポンプ 3~10000 5~2000
軸流ポンプ 1000~13000 ~5
斜流ポンプ 1000~13000 5~15

また流体によっても選定は変わってきます。

スラリーによる摩耗、腐食性、有害性など流体の性質を十分に考慮する必要があります。

手順④:NPSHの確認

ポンプの選定が終われば、NPSHを確認します。

必要NPSH<有効NPSH

となっていることを確認しましょう。

ポンプ吸込み口の液温における蒸気圧(Pa)を液柱高さ(m)で表したもの
NPSHはポンプの吸込み口においてキャビテーションを発生させないための指標です。
キャビテーションはポンプ吸込み口の圧力が液の蒸気圧以下になると発生します。
言い換えると、キャビテーションはポンプの吸込み口で液が沸騰すると発生するということです。
キャビテーションを発生させないためにNPSHという指標が必要なのです。

必要NPSH「NPSHreq」はメーカーから提出される仕様書に記載があります。

有効NPSH「NPSHava」は以下の記事をご参照ください。

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もし、必要NPSH>有効NPSHとなっていたら吸込み配管の設計を見直しましょう。

まとめ

ポンプによる液体輸送のプランニング設計の方法を解説しました。

ポンプ周りの設計は基本と言われることがありますが、意外とトラブルが多く設計が難しいものでもあります。

良い設計をするためには設計手順と計算の内容を理解することが重要です。

設計手順と計算内容を理解して、安全で経済的な設計をしていきましょう。

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