【プラスチック問題の現状】知ったらペットボトルは買えなくなります。

プラスチック問題って現状はどうなってるの?
そんな悩みを解決します。
本記事の内容
  • プラスチックの生産量と処理処分方法
  • プラスチックが引き起こす問題

この記事を読めば、プラスチック問題の現状がわかります。

私は化学メーカーで製品の生産プロセスの設計をしてきました。
その経験をもとに分かりやすく解説します。
化学メーカー生産技術職(8年目)
工学修士(専攻:化学工学)

 

プラスチック問題の現状

安価で軽くてどのような形にも成形できる万能素材のプラスチック。

多くの利点を持つプラスチックは人類が生み出した人工素材です。

問題なのは、自然界で分解されないことです。

それゆえに、世界で大きな問題を引き起こしています。

 

プラスチックの生産量と処理処分方法

全世界の通算

1950年から2015年まで世界が生み出したプラスチックは83億トン。そのうち、63億トンが廃プラになっています。

廃プラの処理方法の内訳は、リサイクルがわずか9%、残りは埋立・投棄もしくは焼却されています。

 

日本国内の現状

2019年のプラスチック生産量は1,050万トン。そのうち、850万トンが廃プラになっています。

廃プラの処理方法の内訳は、リサイクルは25%(マテリアルリサイクル+ケミカルリサイクル)であり、残りは埋立もしくは焼却(熱回収を含む)されています。

サーマルリサイクルはエネルギー回収といい、欧米ではリサイクルには含めません。一度燃やしてしまうと資源は消えてしまうためです。

 

プラスチックが引き起こす問題

プラスチックは便利な反面、その性質上さまざまな問題を引き起こしています。

多量のごみの発生

上記で述べたように日本を含む先進国から多量の廃プラが発生しています。

そして、日本は多量の廃プラを輸出しています。輸出量は約90万トン(2019年)。

先進国を中心とした世界の廃プラの45%を引き受けていた中国が2018年より輸入禁止したことで、廃プラの輸出量は半減し輸出先は東南アジアに移りました。

その後、マレーシアやタイ、インドネシア、インドなど東南アジアでも輸入規制をする国が相次ぎました。

リサイクルされているかと思って捨てていたプラスチックの多くは、「輸出」「埋立」もしくは「焼却」されているのが事実です。

 

環境汚染

廃プラ輸入国の環境汚染

廃プラ輸入国では環境汚染が深刻な問題になっています。

廃プラ輸入国はプラスチックを自国で作るよりも、ゴミを再生したほうが効率が良いため輸入しています。

国境を越えたリサイクルといえば聞こえは良いですが、廃プラの中には汚れたもの、分別されていないものが含まれています。

処理しきれないゴミは放置、野焼きされ有害物質が発生したり、ゴミが川に流れたりと環境を汚染しています。

こうした事態を受けて、バーゼル条約が改正され、2021年から「汚れたプラスチックごみ」を新たな規制対象とすることが決まりました。

バーゼル条約(バーゼルじょうやく、Basel Convention)は、正式には「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(ゆうがいはいきぶつのこっきょうをこえるいどうおよびそのしょぶんのきせいにかんするバーゼルじょうやく、英語: Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal)」といい、一定の廃棄物の国境を越える移動等の規制について国際的な枠組みおよび手続等を規定した条約である。
出典:Wikipedia

海洋汚染

プラスチックによる海洋汚染により、ウミガメやクジラやアザラシなどがプラスチックを食べて傷ついたり、ゴーストギア(網)に引っかかって溺れたりと悲惨な現状が発覚しています。

海洋の汚染源は様々です。

プラスチック製品の加工原料のナードル(小さなプラスチック粒)の漏出、漁船で使われる漁具や魚網、クルーズ船からの不法投棄、事故にあった船や墜落した飛行機、津波に流されたがれきなどです。

中でも最も問題視されているのは、河川からの流出です。

埋立地やリサイクル工場から簡単に流れてしまう状況の改善が重要だと言われています。

ダイオキシン

過去にダイオキシンが大問題になったことがあります。

ごみの焼却炉から発がん性のあるダイオキシンが検出されたからです。

一時はプラスチックが原因だと言われましたが、実はプラスチックを燃焼するとダイオキシンが発生するとは一概には言えません。

正確には、「塩素を含むポリ塩化ビニルなど特定のプラスチック、またはプラスチックを塩素を含んだ雑多なごみと一緒に焼却するとダイオキシンが発生する」と言うことです。

さらに、旧式の焼却炉で不完全燃焼を起こしていたこともダイオキシンを発生させていた原因でした。

今ではダイオキシンの発生を大幅に抑えてプラスチックを焼却できるようになりました。

ダイオキシンの発生を抑えられたから、焼却しても良いと言うわけでは決してありません。

 

CO2の排出

プラスチックは気候変動をもたらす二酸化炭素CO2をライフサイクルのあらゆる場面で排出しています。

2015年だけでも製造と廃棄によってCO2が17億トン排出されたと言うデータがあります。

2019年のCO2排出量上位5カ国と比較してみましょう。

17億トンはロシア以上インド未満のCO2排出量です。

これだけ多くのCO2がプラスチックから排出されているのが現状です。

 

健康被害

プラスチック製造は、製造ラインで働く人々やその地域の住民の健康にも直接的な被害を及ぼします。

プラスチックの製造プロセスではCO2以外に窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性有機化合物(VOC)、ベンゼンなど大気汚染物質が出ます。

日本のVOC排出の7%が化学品製造によるものです。

VOCは日光に反応してスモッグを発生させます。スモッグは心臓や呼吸器に影響を与える他に、目や鼻や喉を刺激します。

また、ベンゼンは発がん性があり、貧血や免疫抑制を引き起こします。

このように、製造ラインで働く人々やその地域の住民に健康被害を及ぼしています。

 

まとめ

プラスチック問題の現状を解説しました。

プラスチック問題が世界の喫緊の課題であることを知っていただけたと思います。

皆でプラスチック問題の解決策を探っていきましょう。

 

参考文献

図解でわかる14歳からのプラスチックと環境問題(太田出版)

脱プラスチック データで見る課題と解決策 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)

プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(一般社団法人プラスチック循環利用協会)

経済産業省 揮発生有機化合物(VOC)排出抑制のための自主的取組の状況

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