・化学工学って何の役立つの?
・どのような仕事をすることになるの?
その経験をもとに解説していきますよ。
化学工学とは?
化学工学が必要な理由
研究者が開発した「モノ」を社会に役立てるために化学工学が必要です。
なぜなら、研究者がどれだけ素晴らしい「モノ」を開発したとしても、化学工学がなければ「モノ」が世の中に出て社会に役立つことはないからです。
「連続的に」「効率よく」「安価で」「大量に」「安全に」「環境によく」などトータルでどのように生産するのが良いか、生産プロセスを考えた技術者がいたからです。
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化学工学の科目
化学工学の科目は非常に幅広いのが特徴です。
なぜなら、化学工学は化学現象を理解するところから始まり、どのような工程で、どんな設備を使って、どのように運転するのかを考えなくてはならないからです。
化学工学の科目例
- 移動現象論、反応工学、流体力学、熱力学、伝熱工学、粉体工学、攪拌工学など
→複雑な様々な現象を簡略化して扱うための科目 - 数学や物理学など
→化学工学を理解するために必要な科目 - 有機化学、無機化学、物理化学、電気化学、量子化学など
→化学を理解するための科目 - 環境エネルギー、バイオテクノロジー、先端材料など
→化学工学の応用となる科目
4年~6年学んでやっと一部が理解できるようになるようなものですから。
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化学工学が活躍する例
化学工学を学んだ人がどのような場面で活躍するのか3つの例を紹介します。
- スケールアップ
- 生産プロセスの改善
- 生産トラブルの原因解明と対策
スケールアップ
100mlのビーカーで作っていたものを1m3の反応槽で作る場合、1万倍のスケールアップになりますね。
例えば、100mlビーカーでは粉末と液体を1:1で混ぜ、アルコールランプで100℃で1時間化学反応させて「モノ」を作っていたとしましょう。
スケールアップした1m3の反応槽でも同じ条件で「モノ」を作りたいです。ここで課題が出てきます。
- 何を使って加熱するのか(直火?、オイル?、蒸気?)
- 粉と液は均一に混ざるのか、反応槽内の温度は均一になるのか(どうやって混ぜる?何で混ぜる?)
このような課題に化学工学を用いて解決していきます。
この例の場合は、伝熱工学、攪拌工学、粉体工学などを用いることになるでしょう。
スケールアップの際には、このような課題が山のように出てきますよ。
生産プロセスの改善
スケールアップに成功し、製品が世の中に出ても生産プロセスを改善し続ける必要があります。
理由は他社との品質や価格の競争に勝たなくてはならないからです。
同じ価格なら品質の良いものを、同じ品質なら価格の安いものを選びますよね。
例えば、反応温度を10℃上げると反応時間が1時間から30分になることが分かったとしましょう。
反応時間が短くなれば、1日にその製品を生産できる量が増えます。
一方で、温度を上げる分加熱のエネルギーが大きくなるかもしれません。
トータルでどうするのが一番コスパが良いかを考えて、プロセスを改善していくのも化学工学を学んだ技術者の仕事です。
生産トラブルの原因解明
生産工程のトラブルの原因解明も化学工学を学んだ技術者の仕事です。
なぜなら、生産プロセスに一番詳しいのが化学工学を学んだ技術者だからです。
生産工程のトラブルの要因は化学反応と機械設備の両方が考えられるため化学反応のスペシャリストだけでも、製造機械のスペシャリストだけでも解決できないことが多いです。
生産トラブルの早期解決が企業として重要な安定生産や品質の安定化につながります。
まとめ
「化学工学とは」というテーマで解説しました。
重要なポイントをまとめます。
- 研究者によって開発された社会に役立つ「モノ」を「製品」として製造・生産(工業化)するプロセスを考える学問
- 化学工学では「モノ」を工業化して社会貢献するため、化学から機械的なことまで幅広い科目を学ぶ
- 学んだ化学工学は、企業において「スケールアップ」「生産プロセスの改善」「生産トラブルの原因解明」などで活躍する
化学工学は化学メーカーはもちろん様々な製造業において必要とされる学問です。
社会の役に立つ技術者を目指して頑張りましょう。
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